2014年07月03日

日本人とユダヤ人

「外国人や外国文明に対する批判は、自己および自国民の潜在的欲望の表出である」
まぁ、2ch風に記載すると自己紹介乙ってところ。
まぁ、ネットの言動見ていると耳の痛くなるような言葉でございますね。

さて、今日紹介するのは上のような出だしから始まる「日本人とユダヤ人」という本。
評論家 山本七平さんがイザヤ・ペンダル名義で1970年に発表してます。
この本て、ググってみるといろいろと事実関係に怪しいところがあるという話もでてきましたが、
おいらとしては日本人観特に宗教性に関しては非常に腑に落ちたので紹介がてら感想をかいていきます。



まずは少し回り道になりますが、この本の日本人感を紹介する前に、おいらがずっと引っかかっていた事柄-日本人について-について説明させてください。

明確に疑問のトゲがささったのは、「日本人はなぜ無宗教なのか」阿満利麿著を読んだときでした。
この本は、日本人て自分の宗教を聞かれたときに、無宗教といったり、強いて言えば仏教と答える。
その理由に関して回答を模索している本です。
 序盤にかいてある結論を持ってくると、日本人は
 日常習慣になってしまったものは、宗教とはみなさないから、自分を無宗教だと見なしているということ。
 まぁ、身近な例でいいうと、初詣やクリスマス会など、本来宗教的行事であるものを、結構多くの人が単なる行事として楽しんじゃっているじゃないですか。
あとは、結婚式だって神道形式とか、キリスト教形式とか見た目のかっこうよさで選んだり、ほんといい加減ですよね。
それと、無自覚な信仰ということで、おいらが気にしているのは、「いただきます」という言葉。
 諸説ありますけど「命をいただくことに感謝する」って、我々はつい当たり前or常識だと考えてますけど、これって一つの宗教観とも見なせますよね〜。
作った人に敬意を表すのも、植物や動物、あるいは太陽に、ありがたいと思う。これは、日頃私たちが思っている宗教ではないかもしれません。
しかし、例えば「神が人に食べさせるために食べ物を作ったのならば、感謝すべきは神であって、命をいただくもの-米だったり魚だったり-ではない。」と考える宗教を仮定した場合、この仮定そのものには違和感ないですよね。
言い換えれば、誰に感謝するのかという考え方は、背景に宗教を持っていてもおかしくないわけなんですよ。
んなもので、ちょっと乱暴かも知れませんが、
いただきますという言葉の背景には宗教観が含まれていると思っているわけなんです。

じゃぁ、そこで思うのは、「日本人として生きていて、日頃の習慣や常識に含まれている宗教観とはなにか」。
これがおいらにずっと刺さっている疑問のトゲでした。

まぁ、さらに正確にいうとトゲが刺さったのは、これより昔に読んだ本。
嵩峰 龍二さんのソルジャークイーンシリーズ中なんですよね。
たしか、熱き男たちの伝説の中に、未開文明の一族の青年が文明社会に調査に行って来いと送り出されるシーン。
長老は青年に、「文明の背後には神がいる。その神が我々にとっていかなる存在か確かめてこい。」
と言うのです。
この、この文明(思想)の背後の神(宗教)という考え方が引掛っていたと。

さて、話を日本人とユダヤ人に戻します。
この本のなかでは、日本人の宗教は「日本人教徒」であり、日本人教の教義は人間的であることと看破してます。
んな、書き方しても伝わりませんね〜。
本書の中では、ヤミ米禁止令とそんな非無理な禁止令を守らずヤミ米を買って生き延びた日本人たちの話をしているのですが、
古すぎて実感がわかない(1970年に書かれた本ですから当たり前ですが)。

 そうですね、今だと「人としてどうよ?」とか「人とは思えない」という行為に対して、
多くの人が怒り、ネットだと炎上をしますよね。
これは、人間性が大事だと思っているからでしょう。
このように多くの日本人は、宗教的な戒律や法律などの決め事よりも「人であることを」第一と考えるのではないでしょうか?
この価値観を「日本人教徒」と本書では呼んでいると。
 とはいえ、この文章を書いているおいらですら、「決まり事よりも人が大事」というのは当たり前すぎて、説得力もって伝わってるとは思ってません。
でも、この感覚をひっくり返してみた時、"当たり前"だからこそ存在に気が付けない日常化した宗教観だと考えるのです。

日本人教は、神を祀るのではなく人を祀る宗教をであるから、
クリスマスを祝ったり、結婚式を教会式か神前式か迷ったり、葬式だけは仏様に祈ったり。
神に対する行為は何をしても教義に反しない。
こう考えると他の宗教に寛容すぎる日本人の態度も理解できるような気もします。

本文の中では、殉教者としての西郷隆盛の話とかもでてきますけど、省略。
なにぶん古い本ですので、ブックオフで100円コーナーにおいてあったりします。
ただここの日本人=日本教の教徒にたいする指摘はかなり鋭いと思いますので、
読んでみるのをおすすめします。
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posted by たぬべえ at 00:53| Comment(0) |
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